底地の買取交渉は、土地所有者にとって大きな決断となります。特に、相続税や急な出費が必要な場合、
底地を売却することで資金を確保することが必要となります。

しかし、底地買取交渉は専門的な知識と準備が重要です。以下では、底地の買取交渉を
成功させるための3つのステップを詳しく解説します。

■底地とは何か?

底地とは所有している土地を、居住目的の建物を建てたい第三者に貸している土地そのもののことをいいます。土地の所有者は地主、土地を借りて建物を建てる第三者を借地人(借地権者)と言います。底地は通常、長期間にわたり安定した収入を得る手段となり得ます。

同時に流動性が低く、現金化するのが難しい資産でもあります。そのため、底地を売却する際には特別な知識と技術が必要です。

■底地は現金化が難しい資産

毎年、安定した地代収入を得られるメリットのある底地ですが、一方で、底地を所有するデメリットもあります。今や、土地の管理や税金の負担がジワジワと大きくなってきています。

固定資産税は、所有しているだけで費用が発生し、地域によっては年々増加し、増額幅も大きいこともあります。しかし、地主が受け取っている地代は昔の金額と変わらない為、地代が手元にほとんど残らないばかりか、場合によっては固定資産税を差し引くと赤字ということも少なくありません。

また、底地では借地権者とのトラブルが発生することもあり、その対応には時間と労力が必要です。そのようなデメリットを抱える底地は、市場性が低く、売却が難しい土地といえます。

■底地の買い手として最適な相手とは

底地の売却先としてはいくつかあるのですが、底地を買取ってもらう先としては借地人が最適といえます。
借地人は底地を買取ることができれば、借りていた土地が完全に所有権になるためこれまで支払っていた地代や更新料を支払う必要性がなくなり、さらに、完全所有になれば土地の価値も上がるため、資産の売却をしやすくなります。

このように、借地人にとって底地を買取るメリットは大きいため、底地の買取り交渉がしやすい相手となります。また地主様にとっては、第三者よりも借地人に底地を買取ってもらった方が高額な売却額を見込めるようになるので、底地の買取り交渉はまず、借地人さんへ打診することになります。

そして、借地権者への底地買取交渉は、お互いの意向をまとめることが難しいこともある為、慎重な対応が求められます。

■底地の買取り交渉の3ステップ

①底地専門の業者に依頼し底地価値を把握する

底地の買取り交渉を成功させるためには、まず底地の正確な価値を把握することが重要です。価値を把握するためには、底地の買取りなど、底地を専門に扱う業者などに依頼することをおすすめします。

底地の専門業者を利用することで、適正な価格を把握することができます。底地の専門業者は、底地に関する専門的な知識と経験をもっており、その専門的な観点から信頼性の高い評価を提供してくるため、底地の適正な市場価値を把握することができるのです。

底地の専門業者は底地の買取査定や、実際に底地の売買などの取引事例を参考に総合的に考慮して評価を行うので、この時に作られた資料は、交渉の際の参考資料として活用することができます。

また、不動産業者は得意としている分野が違うことがあり、底地や借地に特化していない業者に依頼した場合、誤った情報で対応したことが原因となり、交渉がうまくいかないだけではなく、いつまでも解消できない問題に発展する可能性もあります。ご相談される業者は慎重にご検討ください。

②交渉を円滑に進めるために必要な書類を準備する

交渉を円滑に進めるためには、事前に必要な書類を揃えておくことが大切です。具体的には、登記簿謄本、固定資産税評価証明書、測量図、借地契約書などをそろえておくと良いでしょう。

これらの書類を準備することで、交渉をスムーズに進めることができます。登記簿謄本は土地の所有権や抵当権などの権利関係を示す重要な書類です。登記簿謄本を確認することで、土地の所有者や権利者の情報を把握することができます。

また、固定資産税評価証明書は、土地の評価額を示す書類であり、税金の計算に使用されます。固定資産税評価証明書を確認することで、土地の評価額を把握し、底地としての評価を加味したうえで、適正な価格を設定することができます。

測量図は、土地の境界や面積を示す書類であり、土地の正確な情報を把握するために重要です。測量図を確認することで、土地の広さや形状を把握し、適切な交渉を行うことができます。そして、借地契約書は、借地権者との契約内容を示す書類であり、交渉において重要な参考資料となります。

借地契約書を確認することで、借地人との関係や、契約条件を把握し、適切な提案を行うことができます。また、借地契約が親、またはその上の世代からの古い契約の場合、お互いの口約束(口頭契約)になっていることがあり、借地契約書自体が存在していないことは少なくありません。

借地契約書あれば、契約内容を確認しながら、借地人との買取り交渉に臨めるので、借地人に底地買取りを打診する前に、借地契約書を準備しておくことをおすすめします。これらの書類を事前にそろえることで、借地人からの信頼を得ることができ、交渉の進行を円滑にすすめられるようになります。

③円満な交渉には要求のバランスが重要

交渉の基本原則は、双方が納得できるウィンウィンの結果を目指すことです。交渉は対立するのではなく、協力して問題を解決するプロセスです。相手の立場やニーズを理解し、自分の要求とバランスをとることが重要です。

借地人との交渉を進めるうえで、まず相手の立場を理解することが重要です。相手が何を求めているのか、どんな制約があるのかを理解することで、効果的な提案を行うことができます。

例えば、借地人に住み慣れた土地でこれからも住み続けたいという希望があり借地人が居住している家屋を、子供へ相続し、さらに子供も育った実家を利用し続けたいという意思がある場合、借地人へ底地の買取りを交渉をスムーズに進められる可能性があります。

そして、その際に一方的な要求を押し付けるのではなく、相手の状況や意見を尊重し、柔軟に対応するこが、借地人に底地買取り交渉の「鍵」といえるでしょう。

相手の意見を尊重しながら、自分の意見を明確に伝えることで、お互いが納得できる結果を得ることができます。

■まとめ

借地人への底地の買取り交渉は、これまでの付き合いがあるからと油断してはいけません。資産の交渉となれば、お互いの意向が正面からぶつかりあうことになるので交渉は、借地人との初めの接触から慎重に行う必要があります。

今回お伝えしたように、まずは、底地を専門に扱う業者と底地の買取りを交渉するためにしっかりと準備を整え、そのうえで借地人と交渉に臨むようにしましょう。

そして、交渉では一方的な要求を押し付けるのではなく、相手の立場を理解しながら自分の要求とバランスを取ることが重要です。適切な準備と慎重に柔軟な交渉を行うことで、借地人への底地買取り交渉を成功させ、円満に満足のいく結果を得られることでしょう。