「親の代よりも上の代から代から長く引き継いできた底地だけど、税理士さんに相続税を計算してもらったら想像以上に高い金額を伝えられ、焦っています。できれば売却を考えているのですがどうしたらよいでしょうか。」

というご相談をよくいただくことがあります。底地の売却をお急ぎの場合、売却をスムーズに行う必要があるのですが、この場合、買い手がローンを組めるかどうかが、ポイントになります。

さらに、あなたの底地を売却する状況にもよりますが、買い手がローンを組める買い手かどうかでその後の売却の進み方が変わってきます。今回は、底地を買取る際のローン利用についてお伝えします。底地の売却の進め方を考える手掛かりにしてはいかがでしょうか。

■第三者は底地買取りでローン利用は困難

第三者が底地を買取りする場合、ほとんどの金融機関では住宅ローンを利用できません。金融機関は、住宅ローンを組む際、担保となる物件の担保価値を算定し、その担保価値を確認したうえで貸し付ける金額を決定します。

しかし、底地は、土地上にすでに借地人さんが所有している建物があり、借地人が居住している状態の土地です。

そして、借地人さんは「借地権」によって守られており、底地の所有者である地主さんでも、自分の都合で
自由に借地人さんを追い出すことはできません。そのうえ、借地人さんが重大な契約の違反をしない限りは、更新拒否もできません。

このような理由から、底地は市場での売却が難しいため、金融機関では不動産を市場で売却した際に売れるであろう価格の「担保価値」が認めらていません。

そのため、第三者が底地だけを買取りする場合、金融機関では、底地の価値が実質「0」円と判断され、ローンを組むことは難しいといえます。住宅ローンが利用できないということにればフリーローンや無担保ローンを検討することになるでしょう。

また、中には底地の買取りでも融資を認める金融機関もあります。

しかし、底地のような特殊な土地の融資に関する情報は、HP等にに記載されることは少ないので底地買取りのローンで詳しく知りたい場合は直接銀行へ相談することが必要です。

第三者が底地の買手になる場合には、通常の住宅ローンを利用することは難しいため、底地買取りのためにいろいろと時間をかけて交渉したが、結局買い手側が資金を準備できず買取りできないということがおこる可能性もありますので、注意が必要です。

■借地権者なら住宅ローンを組めます

 

第三者が底地を担保に住宅ローンを組むのは難しいのですが、底地の買い手が土地を現在利用している借地権者(借地人さん)なら、通常の住宅ローンを組むことができます。

その理由としては、底地に建物を建て、所有している借地人さんが底地を買取ると、借地権が「完全な所有権」になり、さらに、金融機関は、土地の所有権だけではなく土地上の建物も担保にすることができるため土地の担保評価が上がり、住宅ローンを利用できる可能性が高くなるのです。

このように底地の買い手が借地人さんなら、不動産担保ローンや、フリーローンよりも金利や返済期間も有利な住宅ローンをくみやすくなるため借地人さんは、買取資金の準備がしやすくなります。

そのうえ、借地人さんが底地を買うと底地は所有権の土地となり不動産の価値が上がるため、第三者に
売却するよりも価格が高くなる可能性があります。

そのため、借地人さんが底地の買い手になり、交渉がうまくいけば、第三者よりも底地の売却がスムーズになり価格が高くなる可能性もあります。

また、借地権者さんを底地の買い手として、検討する場合は住宅ローンの制限にお気をつけください。

長く借地権で土地を利用されている借地人さんの中には、高齢の方も多くいらっしゃいますが、住宅ローンには、借入時の年齢制限が設けられていることがほとんどです。沖縄県の金融機関でも年齢制限が設けられています。

※住宅ローンの年齢制限については金融機関のHPに記載されています。

そのため、借地権者さんの年齢や状況によっては、(※今後、子供さんが土地を利用する予定がなく親子で協力してローンを組めないなど)ローンを利用できずに、交渉がまとまらず、買取りを断念されることも少なくありません

もし、底地を借地人さんに売却をすることを検討するとしても、まずは、借地人さんに今後の土地利用の
意志について確認しておくとよいでしょう。

■底地の売却先には、状況に合わせて
 最適な買い手をご選択ください

底地買取りでは、ローンを利用できるかどうかで借地人さんと第三者では資金の準備や、契約締結までにかかる時間に大きな差がでる可能性があります。

また、底地の買取りを借地人さんに決め交渉を行ったとしても、借地人さんの意思、状況によっては、ローンが組めないことや交渉がまとまらないこともある為、必ずしも底地を借地人さんに買い取ってもらえる
というわけではありません。

このような場合、購入してくれる第三者を探すよりも、買取業者へ底地を買取ってもらうと面倒な手間や時間をかける必要はなくなるので底地の買取り業者へ買取りを依頼するのも一つの手です。

相続税の支払いなど、まとまった資金を急いで準備する必要がある場合は、この方法を検討するのもよいでしょう。

また、他にも底地の売却方法としては地主さんと借地人さんが協力して、底地を第三者に売却する「同時売却」や借地人さんと地主さんの間で「等価交換」を行い、権利関係を解消したうえで所有権になった土地を第三者に売却するという方法も考えられます。

しかし、これらの方法は特殊な売却方法になるので、一般の方が安易にすすめるとトラブルの原因になり、取返しがつかないことになりかねません。

底地の売却については、現在「底地の売却は急ぐ必要があるか」など、あなたの現状を確認したうえで、売却方法や売却先を検討されるとよいでしょう。