底地は安定した収入や一時金を受け取れ、管理にも時間や費用がかからないというメリットがあります。しかし、土地を自由に使用することができず、買い手が付きにくいため、売却が難しい土地といえます。

 また底地は、売却が難しい土地ではありますが、売ることはできます。また、土地の上に借地人さんがいるため「土地を売却するときは借地人さんの同意が必要では?」と気にされる地主さんもおりますが、底地の売却に借地人さんの同意は必要ありません。借地権を売却する場合は、地主さんの承諾が必要ですが、地主さんはだれにでも自由に底地を売却できます。ただし底地を購入した新たな所有者は、借地人さんに通知を行う必要があります。

■底地の評価額について

底地の評価をする場合、更地価格と同じように評価することはできません。底地には借地権が設定されているため、借地権と合わせて評価をする必要があります。底地は、国税局が毎年8月に発表する路線価図にしるされている「借地権割合」を調べ、底地の割合を計算し、評価されます。底地の評価額は以下のように算出されます。

更地価格×(1-借地権割合)=底地の評価額

この計算で算出された「財産評価基準」をもとに、相続税や贈与税は決められています。

■底地の売却価格や相場

 底地の評価額は上記のような計算で行いますが、算出した底地の価格は相続税や贈与税の評価額として使われるもので、そのまま底地の売買価格に反映されるわけではありません。実際に市場で売買される価格(実勢価格)とは、異なっているからです。また、底地の価格は、誰に売却するかによっても相場が変わります。

■底地を売却するには、、、

 一般的には売却することが難しい底地でも、以下の5つの方法なら通常よりも高く、また、効率良く売却することができます。

1.底地を借地人に(借地権者)に売却する

 底地の売却を考えるなら、まずは借地人さんに打診しましょう。借地人さんは底地を買取、土地を所有にすることで、地代や更新料などを払う必要がなくなります。さらに建物の増改築や建替え、そして建物と土地の譲渡など、これまで制限されていたことが自由にできるようになります。このように、借地人さんにとっては底地を購入する価値が高いため、土地の売却価格は第三者へ売却するよりも高くなります。ただし、借地人さんが、わざわざまとまった金額を支払わなくても、地代を払って住み続けられるならそれで良いと考えているのであれば、借地人さんに底地を売却することは難しいかもしれません。

2.底地を第三者に売却する

 底地の購入を考える第三者の目的は、不動産投資という場合があります。投資の目的になる理由としては、第三者が底地を購入するときの価格相場がとても低く、またアパートやマンションを経営するような一般的な不動産投資に比べると、管理費用もかからず、地代収益も安定しているということが挙げられます。しかし、実際は古い契約(旧借地法)の低い地代が現在も続いていることで、収益から固定資産税を差し引くと、手元にわずかな地代しか残らない、または赤字になってしまうという底地が少なくありません。さらにいつ返還されるか分からない、自由に利用できない底地を第三者に売却することはとても難しいといえます。そのため、市場で第三者に底地を売却する価格の相場は低くなってしまうことがほとんどです。

3.底地と借地権を合わせて売却する(同時売却)

 底地と借地権を合わせて売却するこの方法は「同時売却」といい、土地を完全所有権として売り出せるので、第三者にとっても価値があるため、底地を単独で売却するよりも売却しやすく、さらに価格も高くなる可能性があります。同時売却を行うタイミングとしては、借地権の更新時期や相続の時期をなどがあります。その際に、借地人さんが将来にわたって、土地を利用し続けるという意思がないことが確認できれば、すぐに話を進めることをおすすめします。

4.底地を買取業者に売却する

 その道のプロである底地の買取業者なら現金化までに時間がかからないでしょう。また、底地の権利関係が複雑になっていたり、揉め事などの問題が発生している底地でもそのまま買い取ってもらえるなど、地主さんのメリットも多くあります。底地の売却を急いでいて「借地人が底地を購入してくれない」、「第三者の買い手が見つからない」などの状況でお困りなら、底地専門の不動産業者に買取を相談してみるのも一つの手法です。

5.底地と借地権を交換する(等価交換)

この等価交換は、底地の一部と借地権の一部をお互いに交換し合う方法です。これには、土地の形質、大きさ、交換条件など様々な調整が必要となります。また、地主、もしくは借地権者が等価交換したいと一方が思っても相手のタイミングなどもあるので、比較的に難しい手法となります。ですが、等価交換ができれば借地権付き土地、借地権付き建物だったものがお互い所有権化できるので大きなメリットを得られます。

■底地を売却するまえの準備

 底地の売却を進める前に、まず借地人さんとの契約書の有無を確認しておきましょう。底地の契約は古いことも多く、さらに口約束で契約が成立できた為、そもそも契約書が存在しないということも少なくありません。底地を売却する際、借地人さんとの契約書が必ずしも必要ではないのですが、底地の買い手からすれば、借地人さんとの契約書がある方が安心です。もし契約書が無いということであれば、今後の為に準備しておくことをおすすめします。また、契約書を作成する際、借地人さんとの対応を誤ってしまうと、揉めてしまう原因になる可能性もあるので、そこは注意が必要です。