「底地」は、不動産業界ではもちろん、実際に所有されている地主さんは聞き慣れていますが、一般の方はあまり耳にしない言葉かもしれません。しかし、全ての地主さんが「底地」がどんな土地なのか詳しく知っているというわけでもありません。

今回は底地がどんな土地なのか。また「底地」と「借地」の違いなどについてお伝え致します。

もし、あなたが「相続した土地が底地だった」「相続前に底地の整理を検討したい」と考えているのなら、今回は、底地の所有、相続などの今後の計画を考えるうえで底地について理解を深められる良い機会になるでしょう。

■底地とは

底地とは、借地権が設定されている土地のことを言います。また、借地権とは他人の土地を借り、その土地に建物を建て、所有し利用する為に土地を借りる権利のことです。

所有している土地を借地人に貸している人が地主、その権利を「底地権」といいます。そして、他人の土地を借りて、建物を建て、利用するする人を借地人といいます。

借地人さんは建物に居住はもちろん、転貸しても問題ありません。

底地を所有する地主は、土地を貸すことで地代(賃料)を得えられ、借地権の契約更新時には、借地人さんから、一定の更新料などを受け取ることができます。

また、地主様は土地の所有者ですが、借地人さんがその土地を借りて利用している限り、

借地人さんを無視して、地主様が土地を自由に利用することはできません。

このように底地には、「借地権」と「底地権」が絡み合っている為、権利関係が複雑な土地といえます。

■底地を所有するメリット

【安定した収入と一時金】

 底地は、土地を借りている借地人さんとの契約が20年~30年と長く続くため、安定した地代の収入が見込めます。その他にも、契約の更新、建物の建て替え、大規模な修繕、建物を第三者に売却するなどの際には地主が一定のお金をもらえる権利もあります。

【管理費用が掛からない】

 底地の所有するメリットには管理の経費がとても低いということも挙げられます。通常、アパートや戸建てなどを賃貸した場合、建物の劣化を防ぐために定期的なメンテナンスが必要になり、管理費や修繕費などの経費が毎月かかり、また、場合によっては、漏水工事など高額な費用がかかることがあります。

■底地のデメリット

【地代が低く収益性が乏しい】

先ほどもお伝えしましたが、底地では地主と借地人との契約が、20年~30年、ときにはそれ以上の契約期間が続きます。この場合、数十年前の契約内容が見直されないまま当時の低い地代のままで借地人さんに土地を借しているケースがよく見られます。

数十年前の契約の地代では、現代の土地の価値と合わなくなっているため受け取った地代から固定資産税を引くと、手元にお金が残らないということも少なくありません。

【借地人とのトラブルが起きやすい】

底地の地代が低く、土地を自由に使用できないという不満を感じている地主さんと現在の状態で土地を使用し続けたいという借地人さんとの間では揉め事がおこりやすく、特に、賃料の値上げ交渉や更新料、承諾料の請求などは、トラブルがおこりやすい原因の一つです。

その他にもトラブルの原因としては借地人さんの地代の滞納や借地用法(建物の無断増改築など)などがあります。借地人さんとの権利関係は複雑なこともあり一度トラブルが起こってしまうと、なかなか問題を解決できずに、長引いてしまうことがよくあります。

【底地は流通性が低く売却しにくい】

土地を借りている借地人の権利は強いため地主は土地を自由に利用することはできません。土地の所有権、利用権を得て、自由に利用できる更地にくらべて底地は使いにくい不動産として知られているため、流通性が低く、買い手が付きにくいのが現状です。

【銀行は底地を評価してくれない】

土地の利用が制限され、不動産売買において権利関係が複雑な底地は、金融機関から担保としての評価が低く、融資が受けにくいこともデメリットの一つです。

■借地とは

 借地とは、他人から土地を借り、地代を払い土地の上に建物を建てる権利のことです。借地には、土地を借りた人(借地人)が借りた土地の上(借地)に自分の建物を建てるなどの土地を利用する借地権があります。

【借地人さんの権利保護として…】

日本では借地に関する法律が整備されるまで借地人の権利の保護が十分ではなく地主と借主では不平等な法律になっていました。その為、大正10年に弱い立場の借地人を保護する目的で「借地法」が制定されました。

「借地法」は最低限の契約期間が定められていますが借地人から契約解除の意思を示さなければ、借地契約は自動的に更新されるという仕組みになっており、半永久的に契約を継続できる法律として借地人の権利を強く保護しています。

また、「借地法」は高度経済成長以後、土地が高騰、土地の事情も変化し、土地の地主さん側にも配慮されることが求められるようになりました。

そして、1991年(平成4年)に「借地借家法」(新法)が交付され、法制度は大幅に改善されました。そのため地主さんは、貸した土地は二度と戻って来ない「借地法」(旧法)のような、心配をしなくても済むようになりました。

しかし、「借地法」(旧法)時代から契約が自動的に「借地借家法」(新法)に切り替わるわけではありません。

また、借地法時代から借地人が不利にならないようにということで、平成4年の交付の新法以前に土地を借りていた借地人さんには、旧法がそのまま適用されているので、現在も「借地法」(旧法)での契約が、多く存在しています。

【「底地」と「借地」の違いとは】

「底地」と「借地」を同一の土地を指しますがその違いは土地に対しての立場によって異なります。つまり、土地を所有している地主さんの立場から見れば「底地」、土地を借り、建物を建てている借地人さんの立場からみれば「借地」ということです。

■まとめ

「底地」とは、地主さんが所有している土地のうえに、第三者(借地人)が建物を建築、所有するための権利(借地権)が設定し土地を貸し、地代を得ている土地のことを言います。

底地には、安定した地代、一時金などの収入が受け取れ、管理がしやすいなどのメリットもありますが、低い地代が長い間続き、土地はいつ返してもらえるかわからない、市場の評価が低いため売却しにくいというデメリットもあります。

底地の今後の利用を考えるうえでは、このような「底地」に関する知識が大変重要になります。

また、もしあなたが底地の「利用」、「整理」の判断を間違えたくないとお考えであれば、底地を専門とする業者にご相談されることをおすすめします。