もしあなたが底地を所有されている地主様で、近く相続を予定しているということでしたら、事前に底地の相続税評価額を算出し、納税資金の準備を進めておくことをおすすめします。

 底地の相続税は場合によっては高額になることがあります。さらに、底地は収益性が低く、市場での評価も低いことから、売却が難しいため、納税の期限までに資金を準備することができないというケースがあり、最悪の場合は「相続破産」ということになりかねません。

 今回の記事では底地の相続評価額や底地の相続対策、納税対策についてお伝えします。底地相続で焦ってしまう前に、ご覧いただき底地相続の準備にお役立てください。

■底地の相続税評価額を算出する計算方法とは

 底地の相続税を計算する前に、まずは底地の価値を評価(相続税評価額)する必要があります。

土地の相続税評価額は、国税庁で定められた路線価図や評価倍率表、または、市町村で定めた固定資産税をもとに計算されますが、底地の相続税評価額の計算方法としては、

>>「底地の評価額」=白用地としての評価額×(1-借地権割合)

という計算式で、おおよその評価額を算出することができます。また「借地権割合」については、国税庁が47都道府県のエリアごとに定めている路線価図で確認できます。

路線価図には借地権割合がA~Zの7種類分類、表記されています。

A:90%

B:80%

C:70%

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G:30%

※国税庁 路線価図・評価倍率表

 例えば、更地として相続税評価額が15,000万円の土地が底地の場合に借地権割合G:30%とした場合、底地の相続税評価額は

白用地評価額15,000万円×(1-借地権割合30%)=10,500万円となります。

(※沖縄は底地割合が借地権割合F~Gということがよくあります。)

■底地の相続税の納税資金が足りない場合は、、、

 底地の相続では、思いもよらない高額な相続税が発生することがあります。そして、相続税は、相続発生から10月以内に現金一括払いが原則です。しかし相続税が高額だと、納税資金が不足することもあります。このような場合は、「底地の売却」、「優良資産の売却」、「延納」、「底地の物納」などの対策を考えることができます。

底地の売却

 底地をそのまま売却しようとすると、「所有者が土地を自由に使えない」、「底地は収益が低い」という底地の持つ性質から、市場での評価は低く、買い手も見つからないため、売却するのに時間が掛かかり、売却額も低くなってしまいます。

 そのため底地を売却するなら、通常よりも高額で、また早く買手を見つけられるようにする「底地を借地権者に売却」、「底地の等価交換」、「底地の同時売却」などの方法を検討するとよいでしょう。

 これらの売却方法には底地権と借地権を一つにまとめ、所有権として売却することを可能にする方法もあるため、底地をそのまま売却するよりも、売却額は高額になり、さらに第三者の買手も手を出しやすくなります。

ただし、これらの方法は借地権者さんとの交渉が必要になり、時間が掛かることもあるため、事前の準備が必要になります。

【優良資産の売却】

 底地を売却し、相続税の納税資金を準備しようとしたけど、どうしてもうまくいかない場合は、底地以外の土地や建物などの売りやすく、金額のつきやすい「優良資産」を売却し、納税資金に充てます。

【延納】

 相続税は、相続発生から10か月以内に現金一括納付が原則です。

 そのため一括納付ができない場合は、納期限までに金銭で納付することが難しい事由、その納付困難な金額を限度として申請を行い、土地や建物などを担保として提供したうえで「延納(ローンのように利息を払いながら相続税を支払う)」をすることができます。

 また、「不動産」を延納の担保として設定しますが、以下の場合は、一般的に、担保として不適格な財産として扱われます。

ー担保として不適格な財産とはー

・売却が見込めない

・法令上担保の設定、または処分が禁止されている

・土地の違憲利用や違法建築のため建物除去命令が出ている

・共有財産の持ち分(共有者全員が持ち分全部を提供する場合以外)

・第三者、または法廷代理人等の同意が必要な場合に、その同意が得られない

などが挙げられます。

【物納】

「物納」とは、現金の代わりに相続した財産をそのまま収める方法のことをいいます。物納は相続税の延納を申請し、それでも納付が難しい場合に物納を申請することが可能になります。しかし、物納の要件は大変厳しいため、実際には底地を物納することは難しくなっています。

物納困難な財産(不動産の場合)

・借地権者と権利関係でトラブルがある

・土地の境界が不明確

・土地が道路に接していない

・複数の者の共有になっている土地

・借地権の契約書が無い

・地代の滞納がある

など… またこれら以外にも、物納できない要件が細かく定められており、さらに上記の一つでも当てはまることがあれば、物納をすることは難しいと考えらます。

■底地の相続は計画的に

 底地の相続税が高額になると、不動さんを一つ購入するくらいの税金を納めることになる場合があります。そのため、もしあなたが底地の相続を予定されているのであれば、その道の専門家に底地の相続について相談し、最善の相続対策を検討したうえで、事前に底地の相続計画を立てておくことをおすすめします。

 底地には、安定した地代、一時金などの収入が受け取れ、管理がしやすいなどのメリットもありますが、低い地代が長い間続き、土地はいつ返してもらえるかわからない、市場の評価が低いため売却しにくいというデメリットもあります。

底地の今後の利用を考えるうえでは、このような「底地」に関する知識が大変重要になります。

 また、もしあなたが底地の「利用」、「整理」の判断を間違えたくないとお考えであれば、底地を専門とする業者にご相談されることをおすすめします。